2018.07Vol.3
すっかり夏らしい気候となり、日差しが強くなってきました。さて、今回は紫外線とUVケアについてお話ししたいと思います。太陽は私たちの生活に多くの恵みを与えています。また、紫外線は光線治療にも使用され、現代医療にもなくてはならないものの一つです。しかし、その紫外線がシミやシワの原因となることも広く知られています。どのようにしてシミやシワの原因となるのでしょうか。
太陽の光のうち、地上に届くものは波長の長いUVA と短いUVBに分けることができます。UVAは皮膚の深く(真皮)まで届きます。一時的に皮膚を黒くし(一時黒化)、長時間浴びると皮膚のハリを保つ線維成分が変成することで、シワ・たるみの原因となります。雲や窓ガラスを通しても皮膚に照射し、エネルギーが弱いため知らず知らずのうちに影響を受けやすいのがUVAです。それに対し、UVBはほとんどが皮膚の浅い部分(表皮)までしか届きません。UVAより強いエネルギーを持つため強く浴びると皮膚がやけどのように赤くなり、その後表皮の色素細胞からメラニン合成が促進され皮膚が黒くなります(サンタン)。これがシミの原因となります。
紫外線は夏季、特に5月から9月に強くなりますが、それ以外の時期でも一年中降り注いでいます。朝から徐々に紫外線量が増え、午前10時から午後2時までの間が特に多くなりますが、夕方になってもあまり減らないため注意が必要です。つまり、季節や時刻を問わずいつでもUVケアが必要なのです。外出する場合は、短時間でもUVケアを心がけましょう。素肌を露出しない服装、つばの広い帽子、サングラス、日傘の使用に加え、適切なサンスクリーン(日焼け止め)の使用をお勧め致します。
では、どのようなサンスクリーン(日焼け止め)を使用すべきでしょうか。サンスクリーン(日焼け止め)は紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2種類があります。紫外線吸収剤は紫外線を化学的に吸収する作用があり、塗った部分の肌が白くならないのが長所ですが、その成分によりまれに炎症を起こしたりアレルギー反応を起こしたりすることがあります。紫外線散乱剤は紫外線を皮膚に通さず物理的に反射する効果があり、白く残る場合もありますが皮膚内部に入り込まないのでトラブルが起こりにくいのが長所です。
また、サンスクリーンを購入する際、「SPF30 PA+」などという表示をご覧になったことはありませんか。これは紫外線の防止効果を示すもので、SPFとPA分類の2種類で表示されます。
SPFはSun Protection Factorの略で、主にUVBの防御の程度を示し、50+が最大です。
PAはProtection grade of UVAの略で、主にUVAの防御を示し、++++が最大の値です。日常生活の買い物や散歩ではSPF10~20・PA+、屋外での軽いスポーツではSPF20~30・PA++、炎天下のレジャーや海水浴ではSPF30~50・PA++~+++、非常に紫外線の強い場所や紫外線過敏な方はSPF50・PA+++~++++が推奨されています。
むやみに強いものを使う必要はありませんので、適切なものを選びましょう。しっとりしたクリームタイプ、塗りやすいローションタイプ、さっぱりしたジェルタイプなど様々な製品が出ていますので、表示をよく読み用途や好みで選ばれることをお勧めいたします。
さらに、汗をかいたり肌に触れたりするだけでサンスクリーンが落ち、時間の経過で紫外線の防止効果も弱まることが知られています。こまめに塗り直すことが大切です。 きちんと落とすことも重要です。特にウォータープルーフの製品は汗や皮脂で落ちにくいだけでなくお湯でも落ちにくいため、洗顔時にこすって肌に負担をかけることがあります。こすらず適切に洗顔料を使用し落としましょう。専用の洗顔料が必要な製品もありますので表示をよく読み購入するようにしてください。
暑い季節、太陽の下でのレジャーは気持ちの良いものです。上手にUVケアをして夏を楽しみましょう。
嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。