2019.10vol.10
気温が下がってまいりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。
本日はこの季節特に女性の患者様からご質問が多いハンドケアについてお話ししたいと思います。
ハンドケアは、手の皮膚を健やかに保つことですが、この季節は特に乾燥から守るという意味合いが強いです。
秋から冬にかけて、手が乾燥する原因は単純に空気が乾燥していることですが、もう一つの大きな原因は水に触れることです。 日常、手は全身の中で一番良く水に触れる部分です。家事やお仕事で手洗いを頻繁にする方も多いでしょう。 水に濡れると皮膚が潤いますが、これがなぜ乾燥につながるのでしょうか。
皮膚の一番表面にある角質は、保湿成分によって適度な水分を保持し、バリア機能を有しています。 しかし、水に濡れると角質はスポンジのように内部に多量の水分が入りこみ、一時的に水分を蓄えます。その後、水分は徐々に蒸発し、同時に保湿成分やもともとあった角質間の水分を奪い、水に触れる前より角質内の水分が減ってしまうのです。
では、手をきれいに保つにはどのようにしたら良いでしょうか。 水仕事の際は水かぬるま湯を使いましょう。熱いお湯は皮脂を奪い乾燥の原因になります。 食器用洗剤は調理器具の油汚れを簡単に落とす作用がありますが、同時に大切な手の皮脂も落とします。食器洗いにはゴム手袋をお使いになると良いでしょう。
それでは日々のハンドケアの行い方をお話ししたいと思います。 まずは優しい洗浄を心がけてください。手洗いの際も水かぬるま湯で。石鹸は使いすぎないようにしましょう。 手を洗った後はタオルを押し付けるようにしてしっかり拭き取ります。水分が残っていると蒸発しさらに乾燥します。また、拭くときに決してこすってはいけません。
次に保湿です。保湿作用のあるクリームをしっかり塗ります。この時爪にも塗ると爪がきれいになります。 手荒れのひどい方は多めにクリームを塗ってから綿手袋をして就寝することをお勧めします。
日中もこまめにクリームを塗りましょう。クリームはお仕事先にも置いておき、外出先でも塗れるよう小さいサイズのものを持ち歩くとよいですね。 また、シミや小じわ防止のために、外出の際は日焼け止めも一緒に塗ることをお勧めいたします。
顔のケアは忘れずに行っても、手のケアは怠ってしまいがち。 しかし意外に手元は人に印象を残すパーツです。また自ら目にしやすい部分ですから、きれいな手で気持ちも明るく過ごしましょう。
嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。