2020.10vol.18
感染症の拡大で、人のもつ回復力に注目が集まっています。
本日は皮膚が持つ力、特にその自然回復力についてお話ししたいと思います。
人の身体全体を覆う皮膚は、成人で面積約1.6㎡もあります。
皮膚は、人の体の一番表面にあり、体をくまなく覆う、人体最大の臓器なのです。
外部の刺激から体を守り、水分の喪失や浸透を防ぎ、体内の温度を保ち、触覚や温感などの感覚器でもある、人体にはなくてはならない大切なものです。
皮膚が傷つくと、皮膚自体が自ら修復を始めます。
出血すると自然に止血され、傷口を守り、汚れを排除して、最終的には傷口が治るという修復機能が備わっています。
近年、皮膚に外部から侵入する細菌やウイルス、また温度などの皮膚内部に関する情報を脳に伝達するセンサーとしてランゲルハンス細胞が大きな役割を担っていることがわかってきました。この細胞は老化した皮膚では数が低下することが知られており、研究を通して皮膚炎の治療にもつながる可能性が示唆されています。
また、皮膚は毎日生まれ変わっています。皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層に分けられます。
さらに表皮は内側から「基底層(きていそう)」、「有棘層(ゆうきょくそう)」、「顆粒層(かりゅうそう)」、「角層(かくそう)」の4つの層からできています。
「基底層」で新しく作られた細胞が層になり押し上げられ、形を変えそれぞれの層で役割を果たしながら、最後に「角層」に至ります。
そして古い角層が順に自然に剥がれ落ちて新しい角層と入れ替わります。基底層で生まれた細胞が剥がれ落ちるまでの周期を「ターンオーバー」といい、これが「肌の生まれ変わり」です。
このターンオーバーによって、常に新しい角層で皮膚が守られているのです。 つまり、不要な角質を落とし、必要な角質を残しながら新しい細胞が正常に入れ替わることが正常なターンオーバーです。それにより皮膚が元来持っている水分保持力やNMF(天然保湿因子)を守り、健康な皮膚回復力を保つことができるのです。
かゆみ・かさつき、ごわつきなどの皮膚のトラブルは、皮膚の持つ自然な回復力が弱まっている可能性があります。回復力を妨げる原因は様々です。
大きな原因の一つは加齢です。20代のターンオーバーは約28日。しかし加齢によって徐々にその周期が長くなることが知られています。他にも、近年ではライフスタイルの乱れが注目されています。例えば過労、寝不足、ストレスに加え、たばこ、過度のアルコールや食生活の乱れは皮膚回復力を弱める原因になります。また便秘や日焼け、過度なマッサージ、かゆみや外傷などの炎症も問題視されています。
皮膚の回復力は毎日のスキンケアで補うことができます。まず大切なのは洗顔。きちんと古い角質を取り除き、皮膚の持つ正しいターンオーバー周期を保つことです。保湿・UVケアも大切です。
また、年齢による肌の回復力が違うということは、年齢によって必要なスキンケアが変わるということでもあります。若いころと同じスキンケアを続けているけれど、どうも最近調子が良くないという方は年齢に合ったスキンケアができていないのかもしれません。各社から年齢を重ねた肌に向けた製品が出ています。スキンケアの見直しをしてみるのも良いと思います。
ライフスタイル、スキンケアともに、20代と同じでは難しいことが多いです。
無理のない健康的な生活、年齢に合ったスキンケアを取り入れることで、皮膚の自然回復力を助け、健康的な肌を目指したいものですね。
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嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。