2023.09vol.38
今年は例年になく暑い夏となりましたが、皆様お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。
気象庁によれば、この先も全国的に気温は平年より高い状態が続き、特に10月上旬にかけては全国的にかなり高くなる見込みです。
さて、今回のテーマは日焼けです。
運動会やスポーツイベントへ行かれる方はもちろん、今年の秋は引き続き、日常のちょっとした外出でも紫外線ケアを忘れないようにいたしましょう。日焼けの影響や対処法、予防についてもお話したいと思います。
まず、簡単に日焼けの説明をいたします。
日焼けとは日光により皮膚が炎症を起こすこと、またその炎症に伴いヒリヒリしたり、赤くなったり、数日後に皮膚が黒くなったりすることです。日光には赤~紫色の可視光線のほか、赤外線と紫外線が含まれます。紫外線にはUVA,UVB,UVCが知られていますが、UVCはほとんど地表に届きません。
UVAはゆっくりと皮膚の深層(真皮)に影響を及ぼし、しわやたるみの原因となります。
UVBは皮膚の浅層(表皮)に直接的な刺激を与え、数時間で皮膚の赤みを引き起こします。また数日かけてメラニン細胞がメラニン色素を生成し、皮膚を黒くします。
皮膚タイプにより、同じ時間の紫外線下でも、日焼けの反応が変わります。色の白い人は直後に赤くなって徐々に引き、黒くなりません。色の黒い方は赤くならずに黒くなります。日本人に最も多いのは中間のタイプで、赤くなってから黒くなります。
皮膚の一番表面は角質層といい、死んだ表皮細胞が層になっています。その層の間を油分と水分が満たすことで角質層はバリア機能を持ち、皮膚からの水分の蒸散を防ぎ、刺激や異物から体を守る役割を果たしています。日焼けをすると、その熱から角質層の水分が奪われます。また刺激を受けた皮膚の細胞にダメージが起こることで角質層のバリア機能を維持できなくなり、皮膚の乾燥が悪化し、刺激を受けやすくなります。
次に日焼けの対策です。
まずは日焼けをしないように予防することが肝心です。
1. 日差しの強い時間の外出を避ける
紫外線量は12時をピークに10時から14時に多いです。早朝や夕方以降の外出をお勧めします。
2. サンスクリーン(日焼け止め)を使用する
日焼け止めを使用しましょう。UVBの防御の強さを示すSPFの数値、UVAの防御の強さを示すPAの+の数を参考に、ふさわしい製品を選びましょう。
・日常生活の買い物や散歩ではSPF10~20・PA+
・屋外での軽いスポーツではSPF20~30・PA++
・炎天下のレジャーや海水浴ではSPF30~50・PA++~+++
・非常に紫外線の強い場所や紫外線過敏な方はSPF50・PA+++~++++
が、推奨されています。真夏はもちろん、日差しの少ない秋や冬も紫外線は降り注いでいます。日焼け止めは通年使い、毎日の習慣になさることをお薦めします。
3. 長袖、帽子を使用する
露出部位を減らして日焼けを予防しましょう。
次に、もし日焼けをしてしまったら、どうしたらよいでしょうか。
日焼けは弱いやけどと一緒です。強い日焼けの際はまず炎症を抑えましょう。濡らしたタオルやハンカチに包んだ保冷剤を皮膚に当ててクールダウンしましょう。それからしっかり保湿をしましょう。日焼けは乾燥の原因となります。乾燥していると感じなくても、後々乾燥してくることが多いです。早めの保湿が重要です。
普通の生活を送るかぎり日焼けの影響を絶対に受けないと言うわけにはいきません。
しかし、上手に対策すればその影響を最小限にすることができます。賢く対策して、秋の外出を楽しみましょう。
嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。