2024.04vol.45
春先に限らず、多くの方が悩まされているのが花粉症です。
くしゃみ、鼻水、目のかゆみのほか、皮膚にも症状が出る方が多いのをご存じでしたか。花粉症による皮膚の症状を花粉皮膚炎と呼ぶ場合もあります。
赤み、かゆみなどのつらい症状はこの時期大変多く診療する症状のひとつです。本日はこの花粉皮膚炎についてお話ししたいと思います。
植物の花粉が空気中に飛散し、吸入することで発症するのが花粉症です。
最も有名なスギ花粉症の他にも多くの植物が花粉症の原因となります。例えば3~5月のヒノキ、8~10月のブタクサ、4~11月にはイネ、8~10月のヨモギなど、一年中何かしらの花粉が飛散しています。
植物は種子を作るため花粉を雄しべ(おしべ)から雌しべ(めしべ)に運ぶ必要があります。花粉の運搬を虫に頼る虫媒花と、風に頼る風媒花があります。風媒花は風に乗って、なるべく多く広範囲に花粉を飛散させようとするため、花粉症の原因になるのです。
花粉が飛散し花粉症の人が吸入し鼻の粘膜に付着すると、体内でアレルギーを引き起こす作用が起こり、アレルギー反応(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙)が起こります。これらは花粉を体内から追い出す体の反応でもあります。同じように、皮膚に付いた花粉によりアレルギー反応が起こり、かゆみや赤みなどの炎症が起こることも知られています。
もともと春先は乾燥が続いている上に日差しも強くなって刺激を受けやすい状態になっています。花粉に加えそのような環境因子も加わりかゆみが出ると考えられます。
花粉症による皮膚炎は予防できます。
まず保湿をしっかりして皮膚に刺激を受けにくい状態にしましょう。十分に水分をたたえた皮膚はバリア機能が保たれますので花粉の刺激を受けにくくなります。紫外線も強くなる時期です。日焼け止めを塗って紫外線による皮膚の荒れを抑えることで花粉からも皮膚を守ることにつながります。
次に外出時にはマスクで防御しましょう。
炎症のある部位がマスクに隠れない場所だとしても、花粉の鼻や口からの吸入量を少なくすることで悪化を防ぐことができます。また花粉の付きにくい衣類を身につける、家に入る前に服のほこりをはらう、帽子で髪への付着を防ぐ、洗濯物や布団を屋外に干さない、など一般的な花粉症の対策で皮膚の症状も抑えることができるでしょう。
まちわびた春の季節。花粉症による皮膚炎もしっかり予防してお出かけを楽しみたいですね。
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嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。