2024.09vol.49
やっと涼しくなってきましたね。季節の変わり目は体調と共に心の健康も崩しやすいことをご存じでしょうか。
皮膚科外来では精神的ストレスなど、心と関係する皮膚疾患を診療する機会が多くあります。今回は意外に知らない「心と皮膚のトラブルの関係」をテーマにお話ししたいと思います。
日常よく耳にする「ストレス」という言葉ですが、正確にはどのような意味でしょうか。ストレスとは外部からの刺激によって体の内部に生じる反応のことを言います。外傷、感染、暑さや寒さ、精神的緊張などが原因となりますが、一般にストレスというのは精神的緊張です。本日は精神的ストレスにポイントを絞ってお話しします。
ストレスを受けると、それを打ち消したり反対に順応したりする様々な反応が体内で起こります。しかし、うまく対応ができないと体に影響が現れます。私たちの体は常に自律神経が働いています。自律神経には、緊張状態で優位になる交感神経と、休憩状態で優位になる副交感神経があり、この2つがバランスを保っています。
不安や緊張、環境の変化など、精神的なストレスがあると交感神経が優位になりがちになり、簡単に言うと体が休まらない状態になります。その状態が長期間続くとホルモンの分泌量も変化し、睡眠不足、消化機能・免疫機能の低下など様々な影響が出ます。
皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)の周期が乱れ、皮膚のバリア機能が低下するためかゆみを感じやすくなります。皮脂量も増え、ニキビができやすくなることも知られています。かゆい所を掻くと気持ち良いため、ストレスを感じると掻きむしるようになり湿疹を悪化させるという悪循環に陥ることもあります。
精神的ストレスが円形脱毛や蕁麻疹の原因になることは有名ですが、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎の悪化の原因にもなります。もちろん、全ての皮膚疾患の原因はストレスだというわけではありませんが、ストレスを感じているときに急に皮膚トラブルが起こったり、なかなか治らなかったりする場合は原因の一つとしてストレスを疑うべきだといえるでしょう。
ではストレスによる肌トラブルの対処法はあるのでしょうか。
まずはスキンケアです。優しい洗顔フォームでしっかり皮脂や汚れを落としましょう。化粧水や乳液は低刺激のものを使い、しっかり保湿します。一番大切なのはストレスの軽減を図ることです。(これが一番難しいのですが・・・)
睡眠をしっかり取り、栄養バランスの取れた食事を摂りましょう。仕事中に短時間でも休憩を取り、疲れを取るよう努めましょう。趣味に没頭する時間を確保したり、スポーツで体を動かしたりするのも良いでしょう。気の合う仲間と集まる、旅行へ行くなどリフレッシュすると気持ちが切り替わりますね。
心は体にも皮膚にも表れます。ストレスを溜めて皮膚トラブルにつながらないよう、良く休み定期的にリフレッシュして息抜きしましょう。時間をかけてスキンケアすることも自らをいたわることにつながります。ストレスに負けない健康な心と皮膚を保ち、秋の行楽日和を楽しみましょう。
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嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。