2026.7vol.61
日々の診療で、外見に気をつけている人ほど手のお手入れを欠かさないということに気づかされます。本日は「手の老化」をテーマに、その原因と対策についてお話ししたいと思います。
皮膚は、成人で面積約1.6㎡、重量が体重の約16%を占める、人の体の中で最大の「臓器」です。全身を覆い、外部の刺激から体を守るバリア機能のほか、体温の調節、感覚受容など、皮膚は生命維持に大きな役割を担っています。健康な皮膚はターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)が正常に保たれ、清潔で、しっとりと適度に保湿されている状態です。このような皮膚は見た目にもキメが整い透明感があり、清潔でみずみずしくハリがあります。
「顔や姿勢は若々しいといわれるのに、手がシワシワで気になる」「常に自分の視界に入る手に年齢が出ていると老け込んだ気持ちになる」など、診察室で手へのお悩みをお聞きすることがあります。昔から「年齢は手に出る」といわれるように、手は顔以上に年齢が出やすい部位です。では、なぜ手は老化しやすいのでしょうか。
手の老化は、①皮膚の変化と②皮下の変化に分けて考えると分かりやすいと思います。
①手の皮膚の変化
手は通常衣服などで覆われずに常に外気にさらされている部分です。そのため、紫外線や外気温、湿度、また水や洗剤など多くの物に触れます。紫外線は顔と同様に手の皮膚のハリを失わせ、シワをもたらすほかに、シミの原因にもなります。
乾燥する季節は皮膚も乾燥しますし、暑い季節は汗により湿疹が出来たりします。日常の手洗いや炊事、掃除で水や洗剤に手が触れることで乾燥が続くこともあるでしょう。乾燥した皮膚はキメが乱れ、透明感を失いますので老けた印象の皮膚となります。年齢が上がると真皮のコラーゲンが失われ、ハリがなくなるのも老化現象のひとつです。
②手の皮下の変化
加齢とともに皮下脂肪が減少すると同時に、前述のように皮膚のハリも失われますので、皮下の静脈が目立ってきます。また骨や腱も見えるようになり、若いふっくらした手から老けたごつごつした手に変化していきます。
次に対策です。
残念ながら②の皮下の変化についての対策は難しいのですが、①の皮膚の変化については予防ができます。
まずは徹底した紫外線対策です。
毎日顔には日焼け止めを塗っていても、手まで塗っている方は少ないでしょう。また外出時には塗っても、家では塗らない方が多いと思います。家にいてもゴミ出し、洗濯物を干すときなど、手に日を浴びる機会は意外にあります。うっかり日焼けに注意しましょう。またせっかく日焼け止めを塗っても手を洗って取れてしまうこともしょっちゅうです。必ず太陽の下に出る前には日焼け止めを塗り、時々塗り直す事が大事です。
次に、保湿です。
手は乾燥しやすい部位です。保湿力の高いハンドクリームをしっかりまんべんなく塗りましょう。水仕事の後は特に皮膚の水分が蒸発しやすいので、すぐにしっかりタオルで水気をきること、またすぐに保湿することを習慣化させてしまいましょう。夜寝る前は特に念入りに。マッサージしながらたっぷりハンドクリームを塗って保湿すると、翌朝のしっとりした手に気分良く朝を迎えられることでしょう。
本日は手の老化についてお話ししました。手は、顔に比べてあまり他人からは注目されませんが、自分の視界に入りやすい部分です。手が若々しいと自信をもつことができるでしょう。きれいなネイルや指輪をしたくなるかもしれません。手も忘れずにケアをして、若々しい手元でおしゃれを楽しんでくださいね。
嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。